だるまのプレッシャー
昨年の大晦日から元日になる瞬間をめざして、我が家としては初めて初詣に出かけた。
今までそんな行事をしたことがないので、とても新鮮だった。
いつも歌合戦を見ながら寝てしまい、気づいたときには年を越しているパターンだったのである。
まず、煩悩の数の鐘を、参拝者が撞けるということを初めて知った。
我が居住区のあたりは鐘撞き希望者が少ないらしく、同じ人が何回も煩悩の鐘を撞いていた。
それもどうかな、とちょっと思ったが、その「同じ人」の中に自分の父親も加わっていたので、何も言えなかった。
とりあえず父は非常に楽しそうであった。
そんな初詣では、参拝者に無料でだるまさんをくれた。
だるまなんて、今まで酉の市で購入したことしかなかったので、「くれる」なんて太っ腹に年の初めから感激してしまった。
そのだるまを連れて家に帰り、さっそく一年の目標を背中に書きいれ、片目を入れた。
このだるまさんと一緒に、私は一年充実したものにすべく精進しよう。
と、思った。
先日大掃除をしていて、このだるまさんがほこりを被っていたので、はたきで払っていた。
そして、ふと、背中に書き入れた抱負を見た。
「弱音をはかずに頑張る」。
というのが私の抱負であった。
それを見たとき、そもそもだるまに抱負を書いたことをすっかり忘れていたことに気がついた。
しかも、今年の2月にはいってすぐの段階で、インフルエンザにかかり早くも弱音を吐きまくっていたのである。
ほこりをかぶっただるまは、何だかとても怖い顔をして佇んでいる。
これはさすがにまずい、せめてこの抱負どおりに努力だけでもしなければ。
そう思って、今年残すところ約三ヶ月にして、今俄かにプレッシャーを感じているところである。