私の幸せを返してほしいクリスマス

小さい頃、サンタさんを信じていた私は姉にその夢をあっさりと破られてしまいました。
今でも覚えている私はかなりショッキングだったのでしょう。
それは姉に「夜中寝たふりしているといいことがある」と言われたのです。

私は寝たふりができず、7歳の12月24日。
なんとか寝たふりをし続け、うとうとし始めた時に父の声が聞こえてきました。
「この辺でいいか?」という声に私は思わずびくっとしてしまいましたが、うっすらと目を開けると大きな紙包みを持っている父の姿が見えたのです。
なんでサンタさんが来ないのだろうと不思議にその時は思いました。
そして次の母の声で私の気持ちは地獄に突き落とされたようになってしまいました。
「サンタさんからの手紙をプレゼントの上に置いておくのを忘れないでね。」
なんで母がサンタさんの手紙を持っていたのだろう。
なんで父がそれをプレゼントと一緒に私の部屋に運んでくるのでしょう。
そうか、サンタさんが父と母に頼んだのかもしれないと思った私はそのまま朝まで眠りこんでしまいました。
すると、朝父と母が嬉しそうに私の部屋に入ってきて、昨日サンタさんから何か届いたのか、と尋ねてくるのです。
私はびっくりしました。
だって、昨日プレゼントを届けてくれたのは父と母じゃないのかと思ったからです。
私が黙りこんでいると、サンタさんが手紙も送ってくれたじゃないか、と父が楽しそうに声をかけてきます。
私は黙ったまま手紙を開くと、母の字でメリークリスマスと書かれていました。
あの時に父と母がサンタさんが忙しいから代わりにプレゼントだけ貰っておいたよ、と言ってくれたら私はもう少し夢を抱き続けられたのかもしれません。
そして何より、姉の忠告を無視して寝ていれば…きっと私は素敵なクリスマスを過ごせたに違いありません。

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