意地悪な彼の本性と幼さと可愛さ

好きな人に意地悪をしてしまう男の子ってよくいます。
ちなみに私はそのような男の子にいじめられていました。
なので、私はその男の子が大嫌いでした。
でも、ある日を境にその男の子ががらりと変わったのです。

いつも同じ方向に家があったので、帰り道に待ち伏せされ、追いかけ回されていた私。
本当に嫌で、帰り道が憂鬱でした。
今思えば、私も子どもだったのでしょう。
その男の子に向かって、いじわるするから大嫌いと叫んだのです。
すると、次の日からその子は私から距離を置くようになったのです。
いつも帰る時に昇降口で待っていたり、途中の道で待っていたりする彼が突然いなくなると私も気になり始めました。
ひょっとしたら私が嫌いだと言ったことですごく傷ついてしまったのかもしれない。
もしかしたら、学校に来なくなっちゃうかもしれない。
そんなことを考えていると私は不安になり、彼の様子を心配するようになりました。
でも、私以外への対応はいつも通りで、元気に毎日学校に来る姿を見てホッとしていました。
そして、2月13日。
いつものように部活を終え、帰宅している途中、彼がいきなり私の前に出てきたのです。
「明日のバレンタインのチョコ、もらってやってもいいぞ!」と私に言ってきました。
その時私は初めて私への態度が嫌っているものではなく、好意からだったと知ったのです。
私は彼の言う通りに次の日にチョコを朝渡しました。
嫌いなんて言ってごめんね、という手紙も添えて。
するとにんまりと満足そうに笑って、教室に入っていった彼。
今思うとすごく可愛い性格だな、と思えるのですがその時は私もまだまだ子どもでした。
もちろん、彼以外の男の子にもチョコを渡し、その後彼からまた嫌がらせを受けるようになってしまいました。
でも、あの日の彼は今思ってもすごくかっこよく見えたのを覚えています。

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