記憶の曖昧さと不思議さと素晴らしさ
子どもの頃の記憶ですごく幼かったころの記憶が今でも私にはあります。
母に聞いたところ、それは私がまだ2歳になったばかりだったはずということなので、自分に記憶があるのが不思議で仕方ありません。
その記憶は、夜真っ暗な空の下を母と姉と3人で歩いている記憶です。
手を繋ぎ、私がもう歩けないというと母がおんぶしてくれました。
そして、最寄駅の線路わきにある道をずっと歩いていく光景が今でも覚えているのです。
その話をした時に母はすごく驚いていました。
その日は母方の母、私からすると祖母に当たりますが、その祖母が電車で帰宅する時に駅まで送って行ったそうです。
もしかしたら、それまで私は暗い夜道を歩いたことがなかったかもしれません。
その夜の闇が怖くて、母におんぶされながらも、きょろきょろと辺りを見回していたように思います。
人間の記憶は3歳ころからあると思っていたので、私はこの自分の記憶がもっと後の出来事だと思っていたのです。
ところが2歳になりたてと言われてびっくり。
私は凡人で、すごい記憶力の持ち主でも何もありません。
でも、もしこのように人間の脳にすごく強烈なインパクトを残すような出来事があれば、私の様に覚えているのかもしれません。
そして、私の2歳の娘は前にあった出来事を全て「昨日」と言います。
そんな彼女は間違いなく私の遺伝子を持った凡人で、きっと今の記憶はなくなってしまうと思います。
そして、今彼女との記憶は私しか残らないんだ、と思うとすごく寂しい気持にもなります。
人の記憶は年月とともに和らいだり、大きくなったり、自分の好きなように着色したりするかもしれませんが、相手がいる時にはその相手も同様に記憶として残るのです。
そう思うと、この記憶できる人間同士、日々素敵な記憶を残していきたいと思います。