マクドナルドにて
先日飲み会に行った彼氏の迎えが少し早くて、マクドナルドで久しぶりにコーヒーを飲んだ。
100円であったかくておいしいコーヒー。
のんびりした時間だった。
ぼんやり年末のお買い物についていろいろと空想していたのも束の間、隣の席に3人組がやってきた。
年は50代くらいだっただろうか。
男性ひとりと女性ふたり、どうやら近所の友人同士らしい。
女性のうちひとりは穏やかそうな口調のひとだった。
「だからね、M子さん。そんなことは言っちゃダメなのよ」
男性は少しイラついた様子で畳み掛ける。
「いつもそんなことばっかり。人のことは放っておけと言うのに」
盗み聞きは失礼だと思いつつ、そんなに広くない店内でひじがあたりそうな隣同士、嫌でも耳に入ってきてしまう。
M子さんと呼ばれた女性は、攻撃的に言い返す。
「あんたらはわからないわよ。わたしだけ、そんなん言われるねんから」
それから数十分にわたって、同じようなやりとりの繰り返し。
M子さんはどうやら、人生、および自分、および周りのすべてが気に入らない様子で、「みんなひどい」「わたしなんか」と言い続ける。
それに対して女性が「違うわよ、考えすぎよ、誰もそんな風にM子さんを見てないわよ」と返す。
男性が、「そんなにひねくれるな。人と比べるな。みんなそれぞれいろいろあるねん」と強い口調で続ける。
うーん。と、自分のことを思い返してみる。
彼になにを言われても、「違うの、こう思ってるのわたしは!」と言ってしまうけど、傍から見ればM子さんのように見えるのだろうか?
本人は、本当にそう思ってやりきれない気持ちでいるのだろう。
どんなに正しい助言があったとしても、それの入る隙間などないくらい。
だけどあのひとは幸せだな。少なくとも、それを言ってくれるひとたちがいるんだから。
そして思う。
わたしも愛想を尽かされる前に、ひとの話をもう少し聞いてみよう、と。